先生、嘘をつくのはいけないことですか。
私は、嘘をついています。
病気になったこと、仕事を辞めたこと。
新しい勤め先も、すぐに辞めてしまったこと。
何かあると、腕を切りたくなること。
いろんなことを嘘で隠して生きています。
先生、嘘をつくのはダメと教わりました。
でも、私は嘘をついています。
嘘で隠せば、外を歩けるようになるからです。
嘘で隠せば、何も知らない友達とも遊べるようになるからです。
嘘で隠せば、家の外でも息が出来るからです。
何もかもすべて話せる人もいます。
でも、そうでない人もいます。
そうでない人とも、遊びたい。話したい。
だから、私は今日も息を吐くように嘘を吐き、
周りと同化しています。
私は、自分のことを異常だと思っています。
だから、嘘をつくことが止められません。
自分の中の普通じゃない部分を隠したいからです。
以前親に、今の自分の状況に嘘をついてはいけないと言われました。きっと、認めなさいという意味だったのだと思います。でも、私は、嘘をつきます。私は私を認められません。
普通でいい。ずっとそう思って生きてきました。
だから、普通でなくなって、どうしていいか分かりませんでした。普通のふりをするのが精一杯でした。
普通のふりをするには、嘘しかありませんでした。
私は今日も嘘をついています。
笑って、平気で嘘をついています。
嘘ばかりついているから、幸せが逃げるのでしょうか。
でも、私にはまだ、生きるのをやめる決心はつかないので、嘘をつく自分に絶望しながら、それでも嘘をついて生きていきます。
先生、嘘をつくのはいけないことですか。